先日、2016年に出願し、2021年に成立した脳波ウェアラブルに関する特許の更新依頼が届きました。それは、耳まわりの情動リズムを可視化するためのインターフェイスに関するものです。
封筒を開いた瞬間、ふと一つの問いが胸に浮かびました。
「なぜ私は、こんなにも“こころの内側”にこだわってきたのだろう?」
現代人に潜む、見えない疲労
私たちの生活は、速く、騒がしく、常に満たされています。
現代のストレスは静かで、気づかれないまま深く侵食します。
そして不可視であるがゆえに、手遅れの段階まで気づけない。
私は考えました。
“見えない感情の波を、やさしく映すことはできないだろうか?”
特許に込めたコンセプト
耳の近くで光や微細な刺激として心のリズムを可視化することで、情動信号を、そっと触れられる形に変換する。
それはガジェットではなく、共感のためのデザインでした。
しかし、どこかで欠けていたもの
技術だけでは、人の心は安定しない。
そう気づかされる出来事がありました。
転機:海外の大規模なお茶展示会で
そこで私は目撃したのです。
・家族のために、真剣に茶葉を選ぶ人々
・古い技法と新しい美学が並ぶ風景
・道具が“遺されるべき文化”として尊重されていること
そこに必要なのは効率ではなく、儀式性でした。
お茶はただの飲み物ではなく、
神経文化的インターフェイス 。
テクノロジー × 文化
両者は、同じ問いに応えようとします。
・注意
・リズム
・自己認識
ひとつはデータで、もうひとつは時間で。
その瞬間、私が発明に込めた思想と、茶道に宿る哲学が筋道を通してつながりました。
お茶は「技術」のアプローチでもある
脳波ウェアラブルを開発するなかで、私は根本の問いに直面しました。
「人の心を整える方法は、デバイスだけなのだろうか?」
答えは、もっと多層的でした。
文化、儀式、香り、温度、そしてお茶を点てる動作。
これらは非デジタルの情動調整システムです。
この交差点を探るため、私はプロトタイプを開発しました。
・茶道ロボット
・没入型の茶VR
・脳波状態を着想源とした“色の抹茶”ブレンド
2022年、これらの試みをCESで展示しました。
それは単なる話題作りではなく、文化・技術・神経系が交差する地点を探る実験でした。
一つの結論
お茶は“古い伝統”ではありません。
それは、人間のリズムを整える感性デバイス。
脳波ウェアラブルが“情動の視覚化”だとすれば、
お茶の所作は“情動の安定化”です。
WACHAが提供するもの
WACHAは、お茶をこう再設計します。
・色による情動のナビゲーション
・点てる所作への回帰
・植物学的なブレンド
・感覚への静かな復帰
これらは、私たちがSoulcareと呼ぶ現代の儀式です。
心を地面に戻す文化。
問いは続きます
「人が自分に還るためには、どうすればいいのか?」
その答えは、動作と触覚と静寂の中にありました。
いつか、テクノロジーは再び文化の上にやさしく重なり、
人の魂に、もう少し自由な余白を与えるかもしれません。
その日まで、WACHAは
静かに、こころの帰り道となる扉を開き続けます。
結びに
WACHAは“お茶のブランド”ではありません。
それは、感情を回復させる文化デバイス。
数百年続く儀式に、現代的なデザインを施したものです。
一杯の静けさのなかで、あなた自身に戻る時間を。
参考リンク
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[1] CES2022 展示(茶道ロボット / 没入型茶VR / ボタニカル抹茶プロトタイプ)
[2] 脳波可視化ウェアラブルに関する特許(2016年出願 / 2021年成立)
※上記リンクは、WACHAの思想的背景に関心のある方への補足情報です。
